親鸞聖人750回大遠忌宗門長期振興計画「教学・伝道の振興」のうち、重点項目⑤「時代に即応する教学の振興」において、浄土真宗のみ教えや信心のよろこびを現代の人々にわかりやすい表現で拝読・拝聴できる文章を制作し、普及に取り組んでいます。

親鸞聖人750回大遠忌が目の前に迫ってきました。一つひとつのご法縁を大切にし、親鸞聖人が顕かにされた浄土真宗をあらためてお聞かせいただくことが、最も大切なことでしょう。
このたび、全寺院に配布される冊子『拝読 浄土真宗のみ教え』は、現代の人々にわかりやすい表現で、浄土真宗の救いのよろこびや、浄土真宗のみ教え(法義)を自ら拝読し拝聴することのできる文章「浄土真宗の救いのよろこび」「親鸞聖人のことば」が収載されています。

宗門長期振興計画の推進事項に「時代に即応する教学の総合研究」が掲げられています。これを承けて教学伝道研究所に「教学・伝道の振興にかかる企画制定委員会」が設置されました。2005年から2年かけて企画し文章を制作し、さらに専門家や一般の方にもモニタリングをして「浄土真宗の救いのよろこび」「親鸞聖人のことば」が完成しました。
これらの文章を1冊にまとめたのが『拝読 浄土真宗のみ教え』です。
朝夕のお参りや、折々のご法縁に、阿弥陀如来の尊前において自ら拝読・拝聴することによって、浄土真宗のみ教えを正確に領解し、より深く味わっていただきたいという思いが込められています。

『拝読 浄土真宗のみ教え』に収載されている「浄土真宗の救いのよろこび」という文章は、現代の人々にわかりやすい表現で浄土真宗のみ教えによる救い・信心のよろこびを口に述べることができるようにと制作されました。
蓮如上人の時代から、浄土真宗のみ教えを簡潔に示し、会得したままを口に出して陳述する『領解文(りょうげもん)』が大切にされ、「領解出言(りょうげしゅつごん)」という形式が大きな役割を果たしてきました。今後も、宗門において重要な位置を占めている『領解文』が、大切にされていくことは言うまでもありません。
この『領解文』の精神と、よき伝統を受け継いだのが「浄土真宗の救いのよろこび」です。
皆さま一人ひとりが、自ら阿弥陀如来の尊前で、拝読・拝聴して浄土真宗のみ教えによる救い・信心のよろこびを味わい深めていただきたいと存じます。

次に収載されている「親鸞聖人のことば」という文章は、浄土真宗のみ教えを、親鸞聖人のことばをより処として、現代の私たちがわかりやすく正確に聞くことのできるようにと制作されました。
浄土真宗の念仏者は、日常の勤行に正信偈(しょうしんげ)・和讃(わさん)・御文章(ごぶんしょう)拝読をもって、浄土真宗という法義をよろこんできました。
蓮如上人が著された『御文章』は、真宗の正しい義理を明らかにし、浄土真宗のみ教えの要を、平易な消息(手紙)の形式をもって、どんな人にも領解されるように心がくばられています。
僧侶に限らず、門信徒の一人ひとりによって日常の勤行や法話の肝要として拝読・拝聴されることは、浄土真宗のみ教えを正確に信受し、聞きよろこぶ上で、いまなお大きな位置を占めています。今後も『御文章』の拝読は大切にされるべきです。
この『御文章』の精神と、よき伝統を受け継いだのが「親鸞聖人のことば」です。
浄土真宗のみ教えの主要なテーマが、
人生そのものの問い
凡夫(ぼんぶ)
真実の教え
限りなき光と寿(いのち)の仏
他力本願
如来のよび声
聞くことは信心なり
今ここでの救い
愚者のよろこび
報恩の念仏
浄土への人生
自在の救い
光の浄土
美しき西方浄土(さいほうじょうど)
かならず再び会う
の十五章に分けて構成されています。ご法縁のたびごとに一章ずつ繰り読みしていただくと、十五章全体で浄土真宗のみ教えの綱格を拝読し拝聴することができます。

さらに収載されている「折々のことば」という文章は、年間恒例の行事に際し拝読・拝聴して、それぞれ浄土真宗のご法縁として意義深いことが明らかに述べられています。
お正月
お彼岸
お盆
報恩講(ほうおんこう)
の四章から構成されていますので、折々のご法縁に拝読・拝聴することで、一つひとつのご法縁を意義有るものにしていただくことができます。

大きな思いが込められた『拝読 浄土真宗のみ教え』は、全寺院に配布されます。寺院でのさまざまなご法縁にて、お一人おひとりが拝読・拝聴し、浄土真宗のみ教えをあらためてお聞きいただき、正確な領解のうえで、より深く味わっていただくことが願われています。
また、一般に頒布もされますので、ご門徒さまはもちろんのこと、多くの方にお持ちいただき、朝晩のお参りやさまざまなご法縁に、自ら拝読・拝聴していただければと存じます。
お寺のご法座などでは、お勤めやご法話などに続いて、お参りの皆さんとともに声に出して拝読することで、難解だと思いこんでいた浄土真宗のみ教えを、わかりやすく拝読することができるでしょう。
浄土真宗とご縁がありながら、遠くに引っ越しをされた方や、親元を離れた方々には、せめて御本尊はご安置いただきたいと願われてきました。しかし、御本尊をご安置しても、そのお救いを聞くことができなければ、これほど残念なことはありません。
御本尊とともにこの『拝読 浄土真宗のみ教え』をお持ちいただき、毎日のお参りに、少しずつでも拝読・拝聴していただくことは、大きなご縁となることでしょう。
活用の方法は一例を示したまでです。皆さまの豊かなアイディアによって、今回刊行される『拝読 浄土真宗のみ教え』が広く普及し、阿弥陀如来の尊前で拝読・拝聴し、浄土真宗を聞きよろこんで参りたいものです。
ここにこそ、親鸞聖人750回大遠忌の、大きな意義の一つがあるといえるでしょう。